まずはABILITYというソフト自体が、他のDAWソフトと比べ予備知識なくそのまま触ってもすんなり作業を進めにくい部分も多いので、簡単にピアノロールにおけるステップレコーディング方法を記しておきます。
入力するMIDIトラックのピアノロールエディタを呼び出し、ピアノロールエディタ内のツールバーにある「入力する音符を選択する」からノートパレットを呼び出し、例えば16分音符を選択すればピアノロールのグリッドも自動的に16分グリッドになり、ステップ入力モードを押し、鍵盤を入力することで行えます。
(※そのノートパレットについて、ピアノロールエディタ以外の画面をマウスで触ってしまうと、ノートパレットはピアノロールエディタ画面の下に隠れてしまい、再度ピアノロールエディタ画面をマウスで触れるか、ノートパレットボタン(入力する音符の選択ボタン)を押さなければ、前面表示がされません。この症状で最も困るのは、ステップ入力をマウスを使用した入力(マウス打ち)ではなく、MIDIキーボードからステップ入力を行っている際であり(今回の機能は基本的にMIDIキーボードを用いて行われる機能でもある為に)、例えばソフトシンセサイザーやVSTエディターを触った後にそれらの操作でノートパレットが常に視覚上から消えてしまうということでもあり、トラックのステップ入力を掛け持ちして行う際などは毎回別途ノートパレットボタンを押さなければならないという理不尽を通り越した表示操作上の内容であると感じた為、『“ノートパレットを常に画面の前面に表示”出来るよう、設定項目の追加』を機能の要望としてお送りしました。 またもう一点、ノートパレットの選択音符の長さによってピアノロールのグリッドが自動的に切り替わるようになっていますが、これが譜面を頭の中で思い描いて入力する際の、視覚上で切り替えてしまうことでの妨げになってしまうことから、使用者がピアノロールで使用するグリッドを固定させる設定を行えないか、できない場合には後に要望したいと思います。)
また、MIDI入力時のゲートタイムを含めたより細かな設定は、ツールバー上の「入力音符の初期設定」から行うことが可能です。
さて、ここからがピアノロールにおけるタイとレストの出番です。
●上記のノートパレットで、例として16分音符を選択している際、キーボードの←→キーで16分音符分のピアノロールのカーソル(ロケートバー)の移動が出来るようになりました。
この事から、ステップ入力後→キーを押すことで休符の役割を瞬時に行うことができるようになりました。
またバックステップを行いたいと思った場合には、簡易ではありますが←キーでノートパレット設定分戻り、その後デリート(バックスペース)キーなどを押せばバックデリートとほぼ同様の機能にもなります。(このノートパレットの選択音符分の←→キー移動は、ピアノロール時だけでなくスコア入力時にも適応がされました。)
●次にピアノロール時のステップレコーディング時のタイ機能についてです。
ノートパレットの「音符を加算(ノートパレットの選択音符分の長さを加算)」ボタンがピアノロール時のステップレコーディング時の(MIDI作成機器でいう所の)タイ機能になります。
Ver4.00.8のアップデートで「最後に入力された音符が選択状態になる」機能が加えられたことによって、その相互で行えるようになった機能ということです。
ではVer4.00.8でピアノロール時のノートパレットに付けられた「タイ」ボタンは何なのか、それが機能の要望に記載もしていた一つ前に入力したデータと今入力したデータを繋げる、要はバックタイ機能(スコア機能上でのタイ機能)で、最後に入力されたピアノロールが“前方に倍に伸び進める”という機能が、この「音符を加算」ボタンになります。
これらの「加算ボタン」についてもショートカットによる割り当てが可能なものになっています。
ここで、なぜピアノロールとスコアによって上記機能が異なってしまうのか、一度簡単に説明をしておきます。
スコアというのは、休符やタイなど、記号そのものに演奏家へ向けた意味があります。
しかしピアノロールというものは、MIDIデータを視覚上に表した表示機能にしか過ぎません。
例えばピアノロール上で4分音符を打ち、加算ボタン(ピアノロールでの本来でのタイ機能)を押して2分音符にした所で、ピアノロール上からのMIDIデータは、一つの2分音符以外の何物でもなく、2分音符そのものなのですが、これがスコア上で入力をした場合には、一つの2分音符ではなく4分音符と4分音符のタイであると記されるわけです。
同上スコアでは全ての記号に演奏家へ向けた意味があり、ピアノロールというものはMIDIデータ作成表示機能そのものであるために、タイも休符もMIDI規格そのものにはないのです。その為に本来ならピアノロール上を元データとした場合には、スコア上は別途演奏家に向けた記号の添付エディット機能として分ける必要があると考えているのですが、これらを今回の機能では「加算ボタン」で機能上分かれた部分になっています。
考えてみると、ABILITYというDAWソフトウェアが、元々古くはスコア入力機能とマイクロエディットのみのレコンポーザからの流れを組んだ構想や構造の製品である事とも、この件で思い起こしました。同じくその事で痛感したのは、ABILITYというソフトウェアは、現状ではフィナーレ層での、例えばリアルジャズバンドなどをされている方が演奏家に各トラック楽器の譜面を渡したい場合や、オーケストレーションを行う音楽を専門としている場合のDAWとしての機能も欲しい場合(VSTのオーケストラソフトを使用したトラックダウンやミックスダウンをしたい場合など)に最も適しているソフトであるとは言えると思いました。
その逆に、私のようなピアノロールメインでマイクロエディット(ABILITYの名称ではステップエディタ)なども使用するガチのシンセサイザー(鍵盤楽器)メインユーザーの場合には、様々なあらゆる点で不満の個所が出てくる部分が多いです。
そういった点を現バージョンの間に蓄積していただいて、修正や機能強化などで後のバージョンにも繋げていただくことも、そのスコア層シンセ層双方の使用者側にとって先につながるものとも思い(それができない製品は、過去cakewalkのSONARやYAMAHAの旧外注音楽ソフトなど、競合製品も多く実質消えていく運命でしかないので)、またアップグレード等の購買においても複数バージョンを持つことでは、自宅のPCではメインバージョンを使用して、タブレットや移動先では(例えばライブや旅行などでも)一つ前のバージョンを使用するなどの便利な使い分けもできるようになるわけです。
今回機能紹介や経緯によってかなり内容を割いてしまったので、項目の追加された機能を使った割り当てなどは、
「ステップレコーディングにおけるテンキーの割り当て3」
に続きます。
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ABILITYユーザー間でお使いになっている自作トーンマップ(音源定義ファイル)を募集しています。(写真はサイト制作者自身がABILITYで作成したトーンマップです。)詳しくは「 3.“音源定義ファイルの作成と共有”」「ABILITY本体でのトーンマップの作成機能」を閲覧ください。
2022.10.04
「機能の要望」と、一部の「コラム」を作成・更新致しました。
2022.08.30
「機能の要望」と、一部の「topics」を作成・更新致しました。
―中略―
2022.07.18
サイトの作成と公開を致しました。
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