音源定義ファイルの作成と共有 について

 非常に長文になりますが、1980年代中期以降から2010年くらいまでは非常に多くのハードシンセサイザーやサウンドモジュールが発売されましたが、それらを現代まで所有使用している人だけでなく、当時持っていた製品(すでに手放した製品)を再び購入する人も最近になって増えてきています。

この数年では特定の機種を中心に値が非常に上がっている製品も多く、特に月額制などの売り切りで所有できないソフト(VST)版から実機を購入しようとするユーザーであったり、海外では一部の古い製品を使用して現代の音楽に使用するムーブメントのようなものが昔からあったり(例えば20年前に発売された製品を1時間かけてレビューをするような動画もここ数年でかなり増えたりと)、その用途も様々です。

 それらがリアルタイムで発売していた頃にはまだDAWが一般的ではなく、ハードの外部エフェクターを多数所有していないと音質的に出せなかった部分が、現行のDAW環境ではコストをかけずにどうにでもなってしまうという部分があり、そういった製品に手に入りやすい純正や非純正のライブラリアンソフトが用意されている環境があればいいですが、そうではない製品も非常に多く存在します。また当時はメーカーを問わずに数百種類以上のハードシンセサイザーやサウンドモジュールの音色をフルエディットし、音色を保存できるエディター/ライブラリアンソフトウェアが別途販売もされていましたが(元波形の一つ一つの選択にマウス3クリック程度の操作が求められる、使い勝手の良くない製品ではありましたが)、現在では一部の高価なシェアソフトを除き、そういったソフトウェアが一般的には既に販売されていないという状況もあります。

旧ハードウェア音源を使用する場合には特に、音源定義ファイルというものは音源を扱う操作の入り口となる部分で、例えば個々の製品に深いエディットを施さなくても、音色をトラックから自由に選択し、個々が接続している現行製品のMIDIコントローラーの送信設定を行い、MIDI音源として対応しているエンベローブやフィルターなどの操作をするだけである程度使用者の見合った使い方になることもありますが、これが最も効力を発揮する部分にはトーンタイプのシンセサイザーがあります。

 トーンシンセサイザーというのは、アレンジャーキーボードなどを除くと最も新しい現行在庫限りで販売されている製品だとYAMAHAのMX49~MX88などが有名ですが、これらの製品は音色を元波形から選択してオシレーターエディット(各オシレーターへのエディット)やコモンエディット(音色全体の設定)を行う製品ではなく、初めから音色そのものが設定されてROMで焼かれた元波形から選択して音色を作成できない製品のことで、それらの音色エディットは仕様上一般的なMIDIのCCナンバーやSysExに既存したエディットで行い、一つの音色として保存するという部分よりは主にマルチティンバーのソング単位での設定保存という形で、本体に音色設定を保存するという製品になります。

またこのトーンシンセサイザーというものは、その構造からGMやGS、XGなどの再生音源と似た部分もありますが、トーンシンセサイザーと再生音源の違いは細かな対応パラメータを除けば基本的には音色の並びにあり、単体製品であるトーンシンセサイザーの機種の音色の並びは基本的には独自の物になっており、再生音源に関しては元々MIDIデータを他の再生音源で鳴らしても同じ音色で鳴らす為の規格でもあるために、音色が互換となっているものです。(また過去に販売されたGMやGS、XGなどの単体再生音源モジュールは、個々がオリジナル音色を作って楽曲に使用してしまうと互換性の意味がなくなってしまう為に、本体側に音色や設定を保存する機能が基本的にはなく、シーケンサー側での再生時での音色設定の復元を主としている製品です。)


 ABILITYには、すでに再生音源系の規格トーンマップ(音源定義ファイル)が複数用意されており、それ以外にもいくつかのトーンシンセサイザー(外部トーンのみ)や単体シンセサイザーのトーンマップも用意されています。しかし当然といえば当然で、過去に販売された膨大な数のハードシンセサイザーやサウンドモジュールのトーンマップのほとんどが用意がされていません。その膨大な数のハードシンセサイザーやサウンドモジュールの中で、ユーザー間で現在使用している音源のトーンマップを作成し、ユーザー間での共有や、ソフトメーカーへの提供(更新)が出来ないかという部分が、音源定義ファイルの作成と共有の趣旨です。


 トーンマップそのものの様な機能であったり、ハードシンセサイザーなどをソフトシンセが既にあるから不要であるという、昔から非常によく見られた内容についても、特定のビンテージ系の音色をまとめたハードシンセサイザー自体とそういった内容を比較をした場合にも、例えばモデリングではなくPCM系の実機の再現をメインとしたシンセサイザーの場合には、その再現させる実機のサンプリングから制作がさせる訳ですが、そのサンプリングをする実機の状態を問われる事も少なくなく、既に年代が30年~40年と経過していて難しくもなる現状があったり、それらの時代に使用されたD/Aコンバーターが現代の量産製品と違い質が極めて高い物であったり、その製品のパラメーター自体の質が非常に良い物も少なくありません。音楽を作る以上、それらを(経験上から)度外視して不要であると結論付けてしまう内容は、項目の初めに書いた内容を消してしまい兼ねない部分とも思い、例えば一部の(多くの)ソフトシンセサイザーの音色は、トラックとリンクされてトーンマップとして選択できるようにもなっていたり、そのソフトシンセの操作自体も、外部コントローラーとの兼ね合いでMIDICC/システムエクスクルーシブが使用されていることも殆どで、不要ではなく同一でもある部分も多いのです。それだけでなく、ソフトシンセを演奏する情報もMIDIそのものであったりするのです。

 トーンマップはあくまでもその音楽、特にMIDIシンセサイザーを使用して音楽制作を行う入口の一つの箇所でしかなく、音楽制作を行う製品としてはその先の機能が欲しくなる部分もあります。そういった部分は機能の要望にまとめたい部分の一つと思っています。

また具体的なトーンマップの作成方法などはtopics内の「ABILITY本体でのトーンマップの作成方法」に記載してあります。すでにお使いのトーンマップをご提供頂ける場合などには、ユーザーフォーラムにご一報ください。(もしくは、メーカーサポートに自作完成済みのトーンマップを提供したいと申し出られてください。)

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メーカー詳細

ABILITY4.0
2022年5月27日発売
(現行販売品/メインストリーム)


ABILITY3.0
2019年7月18日発売
(旧販売品/サポート中)

ABILITYユーザー間でお使いになっている自作トーンマップ(音源定義ファイル)を募集中!

ABILITYユーザー間でお使いになっている自作トーンマップ(音源定義ファイル)を募集しています。(写真はサイト制作者自身がABILITYで作成したトーンマップです。)詳しくは「 3.“音源定義ファイルの作成と共有”」「ABILITY本体でのトーンマップの作成機能」を閲覧ください。

Web更新情報

2022.10.04

「機能の要望」と、一部の「コラム」を作成・更新致しました。


2022.08.30

「機能の要望」と、一部の「topics」を作成・更新致しました。


―中略―


2022.07.18

サイトの作成と公開を致しました。


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