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第3回セミナーより(講演要旨)

2014年10月11日 第3回セミナー 講演要旨

 「免疫グロブリン関連 (AL) アミロイドーシス治療の進歩」

信州大学医学部長 脳神経内科、リウマチ・膠原病内科教授 池田修一先生

 

アミロイドーシの発生機序と分類

 アミロイドーシスは、元になる前駆蛋白が何らかの異常な処理を受けて重合し、溶けにくい線維となって臓器に蓄積して臓器障害を起こす病気です。アミロイドーシスには、アミロイド前駆蛋白が血中に存在する『全身性』とアミロイド前駆蛋白が局所で産生される『限局性』のものがあり、『全身性アミロイドーシス』はさらに、原発性ALアミロイドーシス、反応性AAアミロイドーシス、透析関連アミロイドーシス、遺伝性(家族性)アミロイドーシスの4つのタイプがあります。

 今日お話する『免疫グロブリン性ALアミロイドーシス』というのは、骨髄中の異常な形質細胞が原因で、もとは血液の病気です。免疫反応をする際に軽鎖(L鎖)が過剰に産生され、それが線維性になって溜まっていくといわれております。男女比は1対1、中年に起こる病気で、発症頻度は大体100万人に4、5人くらいではないかと思っております。

 

ALアミロイドーシスの初期症状

 初発症状は、約半分の人は腎臓で、蛋白尿によって発見されます。その次は心臓で心不全、8~10%が肝臓、他にも稀な症状がたくさんあります。  典型的な症状として、舌が大きくなって話しづらくなるということがあります。この段階では診断がつかないことが多いです。また、よく見られるのが、皮下出血や口腔粘膜からの出血、点状出血で、たまに血腫を作ることもあります。このような出血傾向症状が、一番治療にのってくることが少ないのです。また、関節にアミロイドが溜まると関節が肥厚して、関節リューマチと間違えることがよくあります。肩関節は一番アミロイドが溜まり易く、「ショルダーパッドサイン」といいますが、手首にもアミロイドが溜まって関節が腫れてくることもあります。消化管にアミロイドが溜まると、腸管壁が厚くなり、動かなくなります。これも腹部膨満感などで、胃カメラ検査をしても、胃の内壁に変化がないので診断がつかないことがあります。腸が土管の様に硬くなって、腸閉塞と間違えて開腹してしまうと、出血が止まらなくなります。肝臓にアミロイドが溜まると肝臓が大きく腫れ、ビリルビンが上がってきます。リンパ腺にアミロイドが溜まると、全身のリンパ腺が腫れ、石灰化してきます。その他、手根幹症候群で発生する人も結構多くいます。

 

ALアミロイドーシスの治療と効果

 全身性ALアミロイドーシスの治療は、基本的には形質細胞に対する化学療法です。2001年当時はVAD(ビンクリスティン+デキサメタゾン+アドリアシン)で導入療法を施行し、自己末梢血幹細胞を採取し、メルファランを大量に投与する(AutoーPBSCT)というもので、年齢が65歳以下で心機能も腎機能も良い事を治療適用の条件として始めました。

 治療をやって行く中で、一度フリーライトチェーンが正常になった人を再度胃十二指腸生検などでみてみると、組織のアミロイドも消えているということがわかりました。血中のフリーライトチェーンが正常化する場合は上手くいった、正常化しない場合は上手くいかないということがわかりました。

 患者さんの予後は、高用量メルファラン+Auto-PBSCT(メルファラン大量療法+自家末梢血幹細胞移植)がきっちり出来た人は大体80%以上を保てるのですが、VAD療法だけ、あるいはメルファランとデキサメタゾンだけという不完全な化学療法の場合の予後は、良くないということが言えます。メルファラン+Auto-PBSCTの治療成績は症例数は欧米と比較すると少ないものの、欧米の成績とほぼ同じと言えます。

※ 信州大学症例N=40、メイヨークリニック症例N=400、CR(完全寛解)は信州大学42.9%、メイヨークリニック39%

 また、予後については、必ずしもCR(完全寛解)でなくても、VGPR (Very Good Partial Response)といってフリーライトチェーンのκとλ差が40mg/L未満を得られれば、予後が良い事が報告されています。つまりM蛋白は血中に少し残っているけれども、臓器の反応性が良いという状態であれば、予後は良いのではないかといかといわれています。

★化学療法に対する修正見解(2010年~)

  最近の治療指針として、70歳未満で条件を全部満たす場合は、「メルファラン大量療法と自家末梢血幹細胞移植」、満たさない場合は、「メルファラン+ハイドースデキサ」を3クールとし、再発した場合や上手く行かなかった場合の治療として、次の様ないくつかのレジュメが出て来ています。

 ○ タンデム移植(Tandem-treatment of high-dose melphalan with Auto-PBSCT)

 ○ メルファラン+デキサメタゾン(mDex)

 ○ ボルテゾミブ+デキサメタゾン (BD)

 ○ ボルテゾミブ、シクロフォスファミド、デキサメタゾン (BCD)

 ○ レナリドミド、シクロフォスファミド、デキサメタゾン (LCD)

 ○ シクロフォスファミド、サリドマイド、デキサメタゾン (CTD)

 さらに最近は、「ボルテゾミブ+デキサメタゾン(BD)」の方が、年齢制限をつけなくても良いし、心機能がある程度悪くても投与可能で患者さんの負担も少ないので、最初の治療からBDを使っても良いのではないかという意見も出て来ております。信州大学ではこの2年間、自家末梢血幹細胞移植は行わずに、最初からBD療法を患者さんの状態に応じて量を調整しながら行っております。まだこれが「メルファラン大量療法と自己末梢血幹細胞移植」と同じ成績になるかわからないですが、臨床的にはかなり良い結果が出ていると思います。

★ 肝アミロイドーシス患者に化学療法を目的とした生体部分肝移植例

 肝アミロイドが初発の人の治療は、今までなかなか難しかったのですが、最近助けることが出来ました。この患者さんは、6年前から肝障害と嘔気がありましたが、アミロイドと判明した時には、肝機能が低下していて化学療法が出来ないということで他の病院から来られました。こちらに来られたときは、肝臓が大きく腫れて、下大動脈が圧迫され、血中フリーライトチェーンも非常に高くて予後不良の状態でした。心臓、腎臓などの臓器の状態は良いので、肝移植をすれば助けられると思い、20歳の息子さんをドナーとして生体肝移植をして、その後に化学療法(mDex)を施行しました。手術後の回復を待つ間にもアミロイド沈着は進行しますので、腎透析にはなりましたが、現在ではVGPRを達成し、社会復帰を果たすまでに回復されました。

 

AHアミロイドーシス

 「ALアミロイドーシス」と間違いやすいものに、「AHアミロイドーシス」があります。これは、H鎖(重鎖)という免疫グロブリンの一部がアミロイドになっている病気です。相違点は、ALの場合は必ず心臓が悪くなって、心臓で亡くなるのですが、AHの場合は腎臓が悪くなっても心臓は悪くならないことです。従って、AHと診断が確定されれば、それ以上の強い化学療法をやる必要がなく、腎臓の管理だけをしていれば良いということです。(AH症例の提示)

 

局性アミロイドーシス

  ★気道系限局性アミロイドーシス

 肺とか気管支とかにはアミロイドが限局性に溜まります。心臓、腎臓に溜まる訳ではないのですが、その臓器を駄目にしてしまいます。アミロイドが喉頭に溜まって、声が出ないまたは嗄声だといってくる人が多いのですが、これは喉頭だけで他の臓器にはアミロイドが溜まっていきません。気道系というのは、一般に限局性のアミロイドが溜まり易く、副鼻腔に溜まって、鼻出血を起こした子供の症例もあります。そう言う場合は、そこを削ってしまえば大丈夫なわけですが、これが知らないうちにどんどん進展していくと困るということですね。

★肺限局性アミロイドーシス

 この患者さんは、喘息だと言われていろいろな病院で治療していたのですが、良くならなくて、最終的にCTで気管の壁が肥厚していて、石灰化があり、鼻のポリープを調べたらアミロイドが着いているということで紹介されてきました。 気管支が肥厚して、狭窄してしまうので呼吸ができないのですね。気管支鏡でみると、アミロイドは黄色い脂肪が変性した様な形をしているのです。こういう場合のアミロイドは固くて、内視鏡で削ることも、ステントで広げることも出来ないのです。肺以外の臓器には広がっていないのですが、これが命取りになるのですね。これに対しては、肺移植しか無いのですが、日本では臓器ドナーが少ないので、こういう代謝病に移植をすることは出来ないのです。

★シェーグレン症候群と限局性アミロイドーシス

 最近注目されているのは、「シェーグレン症候群」という膠原病に伴って、肺や乳房にアミロイドが溜まり易いということです。私が最初に経験した患者さん(症例1)は、最初、乳ガンを疑って生検組織診断をしたらアミロイドではないかということで来られ、こちらで調べてみると、肺に結節が有り肺に穴が空いていました。また、こちらの患者さん(症例2)は血痰が出て、レントゲンを取ったら肺に腫瘤があり、肺ガンだと思って調べたらアミロイドということで、当院へ来られました。その当時は、私もどうしてアミロイドがこういう処に沢山溜るのかわかりませんでしたが、そのうちに嚢泡病変や口腔内乾燥などがあることが判り、『シェーグレン症候群を伴う肺アミロイドーシス嚢泡症候群』という診断に至りました。よく乳腺外科から、アミロイドが付いていると言われる場合は全例がALで、多くの例では肺にもあります。皮下にアミロイド結節が出来る場合は、石のように固く、採って調べてみるとアミロイドのまわりに形質細胞がたくさんあり、そこで局所的にアミロイド前駆蛋白を産出していることがわかります

 また、「胃にアミロイドが限局性に沈着していて、かつシェーグレン症候群」という場合もあります。「シェーグレン症候群」は、分泌腺の周りに炎症を起こし、そこにアミロイドが溜まってくるもので、その他にもシェーグレン症候群を伴うアミロイドーシスのいろいろな症例が集まって来ています。これらは「多源性結節性アミロイドーシス」、すなわち同じ臓器の中にたくさんアミロイド結節が出来るということで、圧倒的に女性に多いです。これは新しい概念ではないかなと思って診ています。こういう場合はシェーグレン症候群を抑えるしか無いので、少量ステロイドで治療をします。

★消化器限局性アミロイドーシス

 次は消化管限局アミロイド―シスです。胃や腸など消化管だけにALアミロイドが溜まるのはよくあることなのです。この場合、血清中にMタンパクは無く、骨髄も正常です。 私達がみたのは20名くらいですが、多くは無症状で、胃の内視鏡検診で小さな病変があり、早期ガンと間違われて採ったらアミロイドだったという人や十二指腸からの出血、一番多いのが大腸のビランからの出血で、下血して調べたらアミロイドだったという人です。まれにアミロイドが腫瘤を作っていることがありますが、多くは胃か大腸かのどちらかで、両方にある人は少ないです。このような場合の治療は、上部なら胃酸を抑える治療、下部で出血が強い場合は、ステロイドの入った座薬を使えば良いのではないかと思っています。限局性の消化管アミロイドが全身性になるということは、まずありません。

★尿路限局性アミロイドーシス

 尿管に限局性にアミロイドが着くと、よく尿管ガンと間違われて、腎臓を摘出されることがあります。片方をとっても必ず反対側にも出てきます。そういうときは、反対側の腎臓を取ることは出来ないし、カテーテルも通らないので、少量のステロイドを入れて治療します。腎盂にカテーテルを直接入れて生活している人もいます。(症例2例)

 

池田先生のアミロイドーシス研究のあゆみ

 私は昭和53年に医者になりました。その時、病棟に『家族性アミロイドニューロパチー』という患者さんがいたのです。これは優性遺伝病で、手足が麻痺して、激しい嘔吐と下痢などが起こり、だいたい10年くらいで死んでしまう病気です。発病すると、痛みを感じる神経がアミロイドによって麻痺するので、当時は「遺伝性のライ病」だと思われていた為、みな草津の療養所に隔離収容されてしまうので、患者さんは二度と病院に来なくなったということだったそうです。1973年に東京女子医大の鬼頭先生という方が、長野県の小川村という地域にフォーカスがあるということを突き止めたのですが、実は長野県の中で他にもそういう家系がたくさんあるのです。私はそれらの患者さんを診てまわって、臨床像をまとめました。それを英国の雑誌に発表しようとしたら、欧米はそのとき既に「遺伝子診断」に入っていました。それでアミロイドを同定する方法を勉強したいと思って1986年からアメリカに留学しましたが、行ってみると、その当時のアメリカは脳アミロイドーシス一色で、二年半ずっと脳アミロイド研究ばかりをして帰国し、日本でFAP(家族性アミロイドーシス)の遺伝子診断をやっと確立したのですが、その時アメリカは既に肝移植。スウェーデン人が肝移植を始めたというので見に行き、術後一週間の患者さんが普通の部屋にいるのを見て驚きました。それで、早期FAPの患者さんに、外国で肝移植を受けるかという話をすると、「外国に行って他人の肝臓をもらうのは嫌だけれど、身内からもらって移植出来るなら受けてみたい」と言われたので、日本初の生人間の生体肝移植を信州大学でやることになりました。ちょうど幕内先生(現,日本赤十字社医療センター院長,肝胆膵・移植外科)がいらしたので、1年がかりで準備し、患者さんのお姉さんの肝臓の3分の1をいただいて、幕内先生の手術で成功したというのが1例目です。それから信州大学では55例の移植を行ってきました。今はFAPの原因となる蛋白を撃てる治療薬が開発され、さらに12月から遺伝子治療もスタートさせます。この薬と遺伝子治療でおそらく、肝移植と同じ効果が得られるのではないかと期待しています。

  以前は、アミロイドは一旦着いたら溶けないと思っていたのですが、この10年間くらいで、原因を取ってあげれば線維はもとに戻って溶けていくことがわかってまいりました。従ってアミロイドは不治の病ではないということです。日本の医療レベルを欧米並みに上げていこうと、去年「日本アミロイドーシス研究会」を立ち上げ、アミロイドーシスの研究と啓蒙を進めています。

 

 

「ALアミロイドーシス療養の注意点について」

日本赤十字社医療センター副院長/血液内科部長 鈴木憲史先生

はじめに

 ALアミロイドーシスは、ガンに近い病気ですが、いわゆる悪性疾患ではありません。昔は、一度アミロイドが着いたら絶対溶けないと言われていたのですが、そうではないということが判ってきて、生存年数も15年を超えている人がいます。でもまだこの病気のことをよく知らない先生方も多く、学会も含めて医療関係者にも啓蒙して、患者さんにも病気のことを良く知ってもらおうとこういう会をやっております。

 

■ アミロイドーシスについて

 アミロイドーシスの原因は、少なくともエイジングということが関係しているだろうと考えられています。加齢ということによって、異常蛋白が出て来て、それがどんどん腫瘍性の増殖をしていったものが、『多発性骨髄腫』で、同じ異常な形質細胞の一部が、臓器に溜まってアミロイドーシスを引き起こします。ですから多発性骨髄腫とALアミロイドーシスは、治療のターゲットが同じで、方向性も一緒です。ただ多発性骨髄腫の方がアミロイドーシスより細胞の増殖が強いというだけです。免疫グロブリンの重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)は別々に作られて、後に結合して抗体となるのですが、普通はL鎖の方が少し多く作くられて、腎臓から再吸収されたり捨てられたりしています。多くはそのまま尿中に捨てられるのですが、それが少し特殊に変化してしまっていると、上手く腎臓から流れていかなくなります。遺伝子の獲得性にリンパ球の異常が起こると、この病気になりやすいのではないかという事で、多発性骨髄腫とアミロイドーシスの患者さんの遺伝子を調べると、多発性骨髄腫の患者さんの2割ぐらいの人に11番染色体と14番染色体に転換が見られ、アミロイドーシスの患者さんの約40%に11番染色体の点座が起こっているといわれています。遺伝子は常に核の中でコピーを繰り返していますが、その中で時々コピーエラーが起きて遺伝子の入れ替えが起こります。それは誰の身体の中にも起こるのですが、普通はそれほど多くないので問題にならないのです。それが、ある程度増殖するとその細胞が少し伸してきて、蛋白が目立ってきます。それが、たまたま、アミロイドーシスを起こす場所(臓器)に起こるということです。  アミロイドーシスの診断のために腹壁の脂肪を採るのは、非常に重要です。これは、コストがかからなくて一番簡単な検査です。ですから疑った場合はまず、腹壁脂肪を採るのが一番だと思います。それから舌に歯形がつく。横から舌を見て、歯形があるかどうか注意することも重要です。

 

★メルファランを中心とした治療

 今までのデータでみると、メルファランデキサ(MD療法)という治療をやって、血液学寛解が68%。臓器寛解が39%です。血液学的には約7割でも、臓器の状態が良くなる人は4割、服作用が少ないから死亡率も少ないことは確かなのですが、これでは満足出来ません。そこで、そこに自己末梢血幹細胞移植を入れると臓器の寛解率が増えます。この治療はとてもパワフルな治療で、適用があれば、出来るだけやっていきたい治療ですが、心臓の悪い人はリスクが高く、アメリカのボストン大学ではBNPが300以上を適用条件にしていますが、当院では600以下を目安に、メルファランの量を患者さんの状態に応じて140、120、100と減量して(普通は200)、かなり条件の悪い人でもがんばってやっています。腎臓中心の人はリスクが少ないのですが、一部に透析になってしまうケースもあり、治療のタイミングと適応を考えなくてはなりません。  白血病やリンパ腫での完全寛解の場合は、治る可能性が高いのですけれど、アミロイドーシスや骨髄腫においての完全寛解(CR)というのは、症状が全部とれて、一見よくなったというだけで、治ったという事ではありません。やはりその後も出てくる可能性が高いので、経過をみていかなくてはなりません。 完全寛解の判定は、血液学的には免疫固定法で蛋白が消えて、フリーライトチェーンの比が正常化しているということを言います。完全ではないけれど、フリーライトチェーンのκとλの差が40以下であれば、かなり良い状態(VGPR)ということになりますから、主治医に数値を聞いてみると良いと思います。

 

★ これからの治療

 今まではMD療法が中心だったのですが、今はこの細胞をとりまく環境がよくわかってきて、その中で細胞間接着を阻害するベルケイド、血管新生を抑制するサリドマイド、あるいはレブラミドという薬が海外で使われてきていています。例えば、サリドマイドにエンドキサンを加えて、デキサメタゾン(CTD療法)が主にイギリスで行われています。この治療の血液学寛解は74%で、この数字だけで判断するわけにはいかないですが、エンドキサンにサリドマイド、またはレブラミドを加えると、血液学的に条件の悪い人でも良いのではないか言われています。これらは日本ではまだ保険適用になっていませんので、何とか保険に通してもらえないかなと思っている訳です。さらに多発性骨髄腫にこれから使われる薬なのですが、イクザゾミブという薬が欧米で試されています。

 また、これからの治療の方向として、アミロイド蛋白が付着する臓器の違いを解明していき、そこを重点的に打てる方法を考えようというのが1つあります。もう1つは、ヨーロッパ的な考えですが、既に付着してしまっている臓器は、とりかえれば良いという考え方です。池田先生は既に臓器移植をやっておられますが、実はこの病院でも今年から腎臓の移植が始まるのです。私のアミロイドーシスの患者さんに腎臓移植をしてもらいたいという要望があり、来年あたりから始めたいと思っております。日本は、韓国の10分の1、ヨーロッパの数十分の1しか臓器移植をやっていません。それは日本人の死に関する感性が欧米等とは違うためかもしれませんが、どうしても必要な場合には、その考え方を変えるというのも1つの道だと思います。

 

★ 晩期透析について

 多発性骨髄腫の場合も腎臓が悪くなり、透析になる事が多いのですが、溜まる所が尿細管なので、治療して一旦良くなると、それ以上腎臓を阻害する事はないのです。しかしアミロイドーシスの場合は、腎臓の糸球体に着いてくるので、最初はそんなに悪くない人が、治療している間に、場合によっては数年経ってから透析になるケースがあるのです。晩期透析を無くす為には、やはりフリーライトチェーンを早い時期にしっかり減らして腎臓を改善させる様な方法を考えなければならないと思います。自家末梢血幹細胞移植には、ある程度再生医療的なところがあり、ダメージを受けた臓器を回復させるということがあると思いますが、それをさらに進めて、他人の臓器をもらわなくても、自分の力でなんとか出来ないかなというのがこれからの課題です。

 

日常生活での注意点について

【塩分制限】

 食事制限は大事です。健康な人は、かなり塩分を摂っても心臓と腎臓のパワーで何とか尿に出せるのですが、心臓が弱っていると上手く出せないので、塩分6グラム以下にしましょう。塩分を制限していると、透析になる率が少なくなると海外でもはっきりデータがあるのです。また、低タンパクも大事です。魚は100グラム中30%、肉は20%、卵は15%が蛋白質なので、だいたい1日60グラムぐらいを目安にしたらよいと思います。アルブミンが下がって痩せて来たからどんどん食べれば良いという訳ではありません。

水分制限】

 水分もある程度制限する事が必要です。心臓のポンプの力が弱くなるから浮腫が出て来るのですね。足の筋肉は第二の心臓と言われていますが、普通は足をよく動かしているからいいのですけれど、身体がきつくなるので動けなくなります。動けないけれど、喉が渇くからと水をどんどん飲んでしまうと、さらに溜まってしまう訳です。毎日体重を量って前後1キロ以上の体重移動がないように管理しましょう。急に増えたら、水分を控えないといけません。足を高く上げて、よく足を動かし、足のポンプの力で出来るだけ尿を出すようにすることが大事です。走ったりしたら駄目ですよ。危険です。

【ストレスコーピング】

 帯広畜産大学の獣医学科でチーターの研究をしている人がいまして、日本の動物園で死んだ20数頭全てのチーターの解剖にたずさわってきた先生なのですが、チーターの殆どが心不全で死ぬそうです。その原因はストレスで、本来は草原で時速80キロとかで走っている動物ですから、動物園では非常にストレスが溜まるわけです。誰の身体の中にもアミロイドが少しあるけれど、大体が外に出してしまっているのですが、チーターはストレスが溜まると自分の糞を食べてしまう習性があるので、それが身体の中に蓄積して、心アミロイドーシスになり、心不全で死ぬのだそうです。人間の場合は必ずしもそうではないですが、ストレスを溜めると良くないですね。特にアミロイドーシスになってストレスが溜まるのは良くないですから、朗らかに楽しくやっていった方が良いです。あと1年半くらいたてば、新しい薬がいろいろ使える様になってくると思いますので、今を乗り切って、頑張っていきましょう。

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