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「ALアミロイドーシスの診断と治療の進歩」について
熊本大学医学部附属病院 血液内科 特任助教 河野 和 先生
今日お話するテーマは、「ALアミロイドーシスの診断と治療の進歩」ですが、治療については、この後の日赤医療センターの宮崎先生、鈴木先生から治験などを含んだ詳しいお話がありますので、私の方からは主に診断についてのお話をしていきたいと思います。
ALアミロイドーシスとは
『ALアミロイドーシス』とは、AL型のアミロイドが沈着する病気ということで、病気の元になる原因の違いによって、AL型以外にも、今わかっているだけで36種類以上のアミロイドーシスがあります。ALアミロイドーシスは、免疫グロブリン(免疫抗体)の軽鎖(ライトチェーン)が異常に重合して臓器障害を起こす病気で、一部に限局性のものもありますが、ほとんどが全身性です。
我々成人の90%以上の血液は骨髄で作られています。形質細胞というのは白血球の一種で、免疫を司っています。通常、形質細胞は骨髄中の血液細胞の1%ぐらいしか存在しません。これが一部、異常に増えてくることがあります。そういう状態をMGUSといいます。これはまだ病気とはいえないような状態で、このまま一生を終える方が殆どです。ところが、このような方の中には、異常な形質細胞が産生する軽鎖がちぎられて、遊離軽鎖となって血液中に漂い、折りたたみ異常を起し溶けにくい状態のアミロイドになって、心臓や腎臓などの臓器に沈着してしまうことがあります。これがALアミロイドーシスです。MGUSに伴うALアミロイドーシスは難病になっています。診断も難渋する事が多い病気ですね。
☆ ALアミロイドーシスの代表的な症状
ALアミロイドーシスの症状として代表的な臓器障害は、心臓と腎臓で、報告によって違いはあるのですが、患者さんの約半数に心臓又は腎臓いずれかの異常がみられます。心臓にアミロイドが沈着すると、心不全になって、怠さや息苦しさ、手足や顔面の浮腫、心室頻拍といって、リズムが一定でない非常に早い不整脈や、逆に異常に脈が遅くなるなど、異常な不整脈になることが知られています。腎臓の糸球体というところに沈着すると、アルブミンという大事な栄養素が尿から濾せずに出ていってしまう(蛋白尿)で、浮腫がどんどんひどくなります。また、末梢神経に沈着すると、温痛覚麻痺が起こり、お湯の中に手を入れたけれども気づかずに火傷をしたり、自律神経に沈着すると、起立性低血圧で急に立ち上がったら倒れたり、血圧がストンと下がったりという状態になったりします。また肝臓に沈着して肝臓が大きくなったり、消化管に沈着して、うまく食事を吸収できずに、下痢や血便が出たりします。
☆日本におけるALアミロイドーシスの実態(全国調査結果)
ALアミロイドーシスの頻度ですが、主にアメリカで研究が進んでいまして、一般的には年間10万人当たり1人程度、新しい患者さんが発症すると言われています。それぐらい非常に珍しい病気です。 日本でも2012年1月〜2014年12月に治療開始された患者さん741名を対象に全国調査を行なっています。性別でみると、6:4の比率で少し男性の方が多く(これは欧米でも同様)、年齢では、60歳代から70歳代が最も多く、65歳以上が全体の2/3を占めています。30代〜50代の患者さんは1/4から1/3くらいです。また、臓器障害や症状では、蛋白尿(65.7%)、腎臓機能自体が悪くなる方(33.7%)、心不全(21.1%)、起立性低血圧(14.4%)、下痢(10.9%)となっています。臓器障害数については、3つ以上が17.7%、2つが29.7%、全国調査では一応このような結果になっておりますが、熊本大学の患者さんでは、心臓に障害を持った方が非常に多く、臓器の障害数においても、全国平均とは少し異なった印象を持っています。
ALアミロイドーシスの診断
☆ ALアミロイドーシスを疑うこと(この病気の周知と各診療科の連携が必要)
ALアミロイドーシスでは、なによりも早期診断、早期治療が重要です。それには、まず患者さんの症状からこの病気を疑わなければなりません。ALアミロイドーシスは、血液の疾患ですが、アミロイドは全身の臓器に沈着するために、多様な症状を呈します。そのため実際に患者さんが訪れる診療科は、血液内科以外の診療科で、なかなかこの病気を疑う事が少ない為に、病気の発見が遅れる事が多くあります。蛋白尿であるとか、よくわからない心不全、原因のわからない手足の痺れがある場合には、1度はアミロイドーシスという病気を疑うことが極めて重要だと思っています。
☆ 予後を判断するための3つの指標
ALアミロイドーシスの予後は、①『遊離軽鎖』②『トロポニンT』③『NT-proBNP又はBNP』という3つの指標を用いて、4つの病期に分けています。この3つの指標のうち、どれか1つでも高ければ1点、2つなら2点というように点数化し、点数が高い程予後が悪くなります。診断が遅れて病期が進むほど、治療の選択肢も減ってしまいますので、なるべく早い時期に診断して治療することが肝要です。
☆ 診断のための検査1(血液検査)
① 遊離軽鎖(フリーライトチェーン検査):免疫グロブリンの軽鎖(κとλ)の量を調べます。κとλの数に明確な隔たりがある場合は、ALアミロイドーシスが強く示唆されます。
② トロポニンT:心臓の筋肉がどれくらい障害されているかがわかります。
③ NT-proBNP又はBNP:心臓にどれくらい負荷がかかっているか、心不全の状態がわかります。
④ PIC(プラスミンα2プラスミンインヒビター複合体):この値が高いと、極めてALアミロイドーシスの可能性が高いということが最近わかってきています。(出血しやすい症状とも関係している)
☆ 診断のための検査2(心臓の検査)
ALアミロイドーシスの予後は、心臓にアミロイドが沈着しているかどうかということが重要になってきます。まず、心臓の超音波検査で心室中壁の厚みや、心室の壁の輝度上昇、拡張機能障害の有無などを調べます。わかりにくい場合は、心臓MRI検査で、T1マッピング法とECV評価を用いて解析すると心臓に沈着したアミロイドを検出することが出来ます。(ただし、熟知した画像診断技術が必要。)
☆ 腹壁脂肪吸引生験
アミロイドが本当に臓器に沈着しているかどうかを証明するためには、組織を採って調べなければなりませんが、実際にアミロイドが沈着していると思われる臓器が、心臓や腎臓などの場合は、検査自体が非常にリスクを伴います。そこで替わりに『腹壁脂肪吸引生験』を用いると、他の検査との組み合わせで約9割の確率で診断が可能になります。非常に簡単で負担の少ない検査です。
☆ 病型診断をして診断が確定する(免疫組織化学染色)
アミロイドという物質があるかどうかについては、採った組織がコンゴーレッド染色で赤く染まるかどうかで確認できますが、これだけでは、どのような種類のアミロイドであるかまではわかりません。そこで免疫組織化学染色(いろいろな抗体で染めてみる)をして病型診断をします。アミロイドの種類が特定され、病型が判明して、初めて確定診断となります。
☆ 質量分析(LC/MC) 以前はALアミロイドーシスの患者さんの場合、コンゴーレッド染色の染まり方が少し弱い傾向にあり、軽鎖抗体染色でもうまく染まらないこともありました。これを解消する為に、質量分析(LC/MC)というものがあります。熊本大学で質量分析の有効性を調べた結果、質量分析では、ほぼ100%ALと診断できることがわかりました。一方、軽鎖抗体だけでは半数強ぐらいしか染まらなかったということから、抗体を用いた染色で染まらない場合でもALの可能性が否定出来ないということが判り、質量分析を用いた診断も重要になってきます。(質量分析が出来るのは熊本大学と信州大学のみ)
ALアミロイドーシスの治療
治療は、大きく分けて2つあります。1つはアミロイドの元になる軽鎖を産生する異常な形質細胞を抗ガン剤で減らす治療、もう1つは既に沈着してしまっている臓器のアミロイドを取り除く治療ですが、後者はまだ研究(臨床試験)段階です。現在確立されている治療法は、前者の抗ガン剤による治療の方で、日本の保険上使用出来るのは、『MD療法』と『自家末梢血幹細胞移植』だけです。自家末梢血幹細胞移植(自家移植)は、有効な治療ですが、出来る患者さんが限られます。MD療法の問題点は、いつまで続けていくかということと、心臓の悪い患者さんにはステロイドを減量しなければならないのですが、減量すると効果が落ちてしまうという事です。また、MD療法が効かなくなった場合にどうするのかということが、今の日本の保険制度でクリアになっていません。
☆熊本大学医学部附属病院での治療(新規薬剤での効果:日本の保険適応外の情報も含みます)
熊本大学の患者さんは、高齢、かつ心臓に沈着のある患者さんが多いためか、移植治療の割合が低いです。米国のALアミロイドーシスに対するガイドラインでは、移植の出来ない患者さんの治療の一つとして『CyBorD療法』を推奨しています。熊本大学で『CyBorD療法』を受けられた患者さんの中で長期間治療を継続できた方の治療成績は良好でしたが、治療を継続できなかった方も一定数おられました。『ダラツムマブ』はCD38という分子を標的とする新薬です。熊本大学では高齢の心アミロイドーシス患者さん3例に使用経験があり、3ヶ月で全員が血液学寛解と現時点では良い効果が出ています。
日本赤十字社医療センターからの報告
ALアミロイドーシスの国内治験情報等について
日本赤十字医療センター 骨髄腫アミロイドーシスセンター長 鈴木 憲史 先生
本題の前に‥
☆『がん』と『難病』どちらか一方で治療するということ
日本の保険制度で治療を進める上で、ひとつ難しい事があります。ALアミロイドーシスは、多発性骨髄腫と同じ形質細胞関連疾患で、治療も多発性骨髄腫に準ずる治療として抗ガン剤を使います。けれども、多発性骨髄腫は「形質細胞のガン」ですが、ALアミロイドーシスは、ガンではありません。国の指定難病で、医療費の補助があります。多発性骨髄腫は、保険適用として使える治療薬がたくさんありますが、ALアミロイドーシスでは、現在、保険で使えるのは『MD療法』と『自家移植』だけと限られています。治療の内容によって、どちらか一方の病気として治療していかなければなりません。ですから、難病の申請書もガン保険の診断書も両方書いて下さいというのは出来ないのです。 (併発の場合は多発性骨髄腫としての治療になります)
☆ 新しいバイオマーカー(診断や予後の判断に使われている)
● 循環形質細胞(cPCs):血中にただよう悪い形質細胞の有無で予後を判断
● 増殖分化因子GDF−15(Growth differentiation factor15):他のガンのマーカーとしても採用
これらの数値が高いと、予後が悪いということもわかってきて、こういうものに対する抗体を使った治療を進めていこうという方向性も出て来ています。
☆ キャピラーリー電気泳動で迅速にアミロイドを検出
当院では、アミロイドの識別において、『キャピラリー電気泳動』という手法も用いています。これにより、従来の免疫電気泳動(IEP)では判読しにくかったアミロイドの検出が早くなり、遊離軽鎖だけでは80〜90%の検出率が、ほぼ100%になります。
☆ 臓器に沈着したアミロイドを減らす抗体薬 mAb11-1F
やはり期待されるのは、臓器に着いてしまったアミロイドを溶かす治療の開発です。数年前から非常に有望視されていた『NEOD001 』は、最終段階(第3相試験)で残念ながら中止になりましたが、現在、『キメラ線維反応性モノクローナル抗体11−1F』(Drug: Chimeric Fibril-Reactive Monoclonal Anti-body 11-1F4)の臨床試験がコロンビア大学を中心に進んでいます。この抗体は、アミロイド線維にのみ反応するモノクローナル抗体で、普通では認識出来ない物質を免疫学的に除去する事を促したり調節したりするような仕組みをもっています。従来の抗ガン剤治療は、形質細胞のタンパク質生産を減少させる治療なので、まずフリーライトチェーンが正常化して、後から臓器が良くなるという順番だったのですが、この薬は、直接アミロイドが沈着している組織に作用するので、フリーライトチェーン正常化するより先に臓器の所見が良くなるということで、非常に期待が出来ます。 次に、当院で現在行なわれている臨床試験についてお話します。
日赤医療センターで現在進行中の治験
● イキサゾミブ(再発・難治性が対象)国際第3相治験(武田薬品)
アメリカで行なわれた臨床試験の第1相、2相において血液学寛解52%、臓器効果56%と、かなり良いと結果が出ていて、現在、日本も含めた複数施設で3相治験が行なわれています。(昨年も紹介) 『イキサゾミブ+デキサメタゾン』と『それ以外の効果のある治療薬』との比較で、イキサゾミブの効果を調べています。ただ、副作用として下痢があるので、下痢のある患者さんにはきついと思います。また、その治験に入るためには、いろいろな条件があります。実際に、当院でも200人近くのALアミロイドーシス患者さんがいらっしゃるのですが、フリーライトチェーンのκλの差が50mg以上とか、心臓の壁の厚みが12mm以上とか、たくさんある条件を全て満たす人となると、なかなか該当する方がいらっしゃらなくて、今6、7人の方がやられています。この治験で有効性が確認できれば、最初から誰でも使えるようになると思います。
● Daratumumab(ダラツムマブ)/ CyBorD(サイバーディー)初発対象の国際第3相治験
こちらは初発の人が対象で、『CyBorDのみ6コース』で経過をみるグループと『CyBorD+Daratumumabを6コース終了後、さらにダラツムマブを4週間毎に最大2年間続けて経過をみる』グループを比べてみるものです。サイバーディーに含まれるボルテゾミブ(ベルケイド)は末梢神経障害や心臓に不整脈が出ることがあるので注意は必要です。この治験が終われば、1年後くらいからダラツムマブもベルケイドも使えるようになるのではないかと思っています。当院でも現在4、5人の方が参加されています。
海外では臨床試験がたくさん動いており、治療薬を開発している企業も18くらいあります。 その中で、数年のうちに国内で実現できそうなのが、イキサゾミブとダラツムマブです。良い薬がどんどん出来ていきますから希望をもって治療していきましょう。
ALアミロイドーシスの海外最新情報等について
日本赤十字社医療センター 血液内科 宮崎 寛至 先生
ALアミロイドーシスの標準治療は現時点では、自家移植とMD療法のみです。さらなる予後の改善を目指して世界中で臨床研究・臨床試験が行われています。
☆ MD療法と自家移植とは
この疾患は、骨の中の異常な形質細胞が、アミロイド化するおかしな蛋白を出して、どんどん血流に乗って全身に広がっていき、アミロイドとして臓器に沈着し、最終的には臓器不全になってしまいます。これに対してMD療法(メルファラン+デキサメタゾン)というとても画期的な治療がかなり前に開発されました。この治療をやっていくと、おかしな細胞がゆっくり少しずつ減ってきます。そうすると、アミロイドの元になる蛋白も減っていくので、沈着したアミロイドも少しずつ時間をかけて減少します。一方、自家移植は、MD療法の数倍から10倍という大量のメルファランを一気に入れますから、ものすごい勢いで、一気に悪い蛋白を減らすことが出来ます。ただしそれだけリスクも高くなります。
☆ 自家移植とMD療法の比較(海外)
自家移植するのとしないのとどちらが良いのか、MD療法と自家移植を比較した臨床試験が海外からも出ています。(2016年7月 に血液学会報告) 自家移植を行なった方が、MD療法のみでいくよりも、3年生存率が優位になります。移植した方は約85%、しない方は約60%と3年間でも20%以上も違います。これはどちらの治療も可能という同じ条件で行なっていますので、MD療法より自家移植の方が治療効果は高かったということがいえます。
☆ 自家移植とMD療法の比較(当院)
当院では200人以上のアミロイドーシスの患者さん中70人くらいの方が自家移植を行なっています。自家移植での生存率は約80%、これは多発性骨髄腫の人が自家移植を行なった結果と比べても圧倒的に予後が良いということがいえます。一方、移植しないでMD療法だけですと生存率は少し落ちます。これをさらに『臓器障害が軽度、かつ若年症例のみ』に限定して比べると、自家移植を行なった方の生存率は更に高くなり、海外の報告よりも良い結果になっています。当院では殆どMD療法と自家移植を組み合わせて行なっていますので、自家移植だけよりは、自家移植+MD療法の方がよいのではないかと考えています。ということで、現時点では移植可能であれば移植の方が良い、そして進行してしまうと移植はできなくなるので、進行する前の早期に治療を開始した方がいいということです。
☆『ベルケイド+MD療法』と『MD療法のみ』(初発)での比較(アメリカ)
ベルケイドという薬剤は、まだ日本ではアミロイド—シスには使用できないことになっていますが、初発の患者さんに『MD療法のみ』で治療した場合と『MD療法にベルケイド加えた治療』をした場合とを比較した報告が2016年12月にアメリカの血液学会からありました。その結果では、全生存率についても、再発までの期間についても優位差はついていないということでした。ベルケイドが、MD療法よりも有効かどうかは現時点で不明です。
☆『MD療法+レブラミド』(ハイデルベルグ大学からの報告)2017年5月
未治療、移植適用ではない患者さん50症例に『MD+レブラミド』で治療した結果、心臓への沈着がそれほど進行していない症例では4年生存率80%であるのに対し、心臓への沈着がかなり進行している方では25%とあまり良くありません。『MD療法+レブラミド』は心臓の沈着が進行していない人には良いが、沈着が進んでしまってからでは、それ程の効果はみられないかもしれないと結論づけています。初発治療としてMD療法より良いかどうかは現時点では不明です。
☆『ダラザレックス(ダラツムマブ)単剤投与』アメリカのスタンフォード大学の報告(2017年6月)
再発や難治症例25例に『ダラザレックス単剤』(ダラツムマブ)を投与した成績の報告です。約6割が完全寛解及び完全寛解の一歩手前、3分の1の方が完全寛解という結果で、スタンフォード大学では、「他の治療薬が何も効かなくなったような症例に対してダラザレックスは非常に有効である」と結論づけています。ただ、他の薬よりも良いかどうかという比較はしていないので、まだ確定ではありません。
★ 早期かつ侵襲の少ない診断(骨髄検査と腹壁脂肪生験の有効性)
次は、診断についての海外報告です。これはアメリカのメイヨークリニックが『骨髄検査と腹壁脂肪生験によるALアミロイドーシスの検出確立と免疫染色の信頼性』について612症例で調査した結果、「骨髄検査と腹壁脂肪生験のみで、90%の症例でアミロイドを検出できた」ことから、メイヨークリニックは、『とても簡単で侵襲の少ない、骨髄検査と腹壁脂肪生験をまず行なうべきで、これにより心臓、腎臓生検などの侵襲的な検査が回避できるだろう』と結論づけています。(当院でも有効性を学会で報告)
☆ 自家移植での長期生存の成績は著しく改善
自家移植の長期成績が立て続けに海外から出ています。(アメリカやスウェーデン)いずれの報告においても自家移植の成績はかなり良くなっていることがわかります。メイヨークリニックの1996年〜2016年までの20年間の自家移植672例全生存率報告でも、「1996年から2000年」では6年生存率で5割であったのが、最近の症例(2007年から2012年)では約8割で、成績は圧倒的によくなっています。また、どの報告においても「心臓にアミロイドーシス沈着のない方が治療後の成績が良い」ということ、「移植時にメルファランの量を減量していまうと、生存率が悪くなってしまう」ことが判っています。また、移植により致命的な合併症を起す方が、昔は約15%もいらっしゃったのですが、最近では2.4%と劇的に改善してきているということで、今後も自家移植は重要な治療法の1つであり続けると考えられます。 ただ、移植治療は全例で行なう事が出来る訳ではなく、いずれの治療であったとしても、まずは早期診断早期治療です。新しい治療の開発もかなり進んでいます。
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