当企画にお送りいただいたおたよりを掲載しています。

募集要項については本館にあるこちらの記事をご覧ください。

のぞさん_20/4/21

~とあるクリミア兵の回顧録~

「隠されていた王女が、民を救うために立ち上がった」

その言葉が虐げられるクリミアの民たちの間に知れ渡る頃、王女は本当に軍を率いて祖国に帰還した。

王家の紋章が刻まれた旗と、馴染みある白亜の鎧の姿を認めた民たちは、圧政からの解放を確信し、歓喜の声をもって王女を迎え入れた。

王女もまた熱烈な歓迎を受け入れ、民たちに手をふって応えていた。

集まった人々の顔をゆっくり見回すその瞳に、薄ら涙が浮かんでいたのを見て、この可憐な王女もまた辛酸を舐め、こうしてクリミアに戻ってきたことを喜んでくれているのだ、と民たちも涙を浮かべたのだった。   


民たちの胸を熱くしたのは王女の帰還だけではない。

王女から爵位を与えられ、クリミア解放軍を率いる年若い将軍の存在もあった。

年の頃は王女と近くて17~18歳。落ち着いた色合いの服装に引き締まった表情からは華やかさや気品はない。それとは正反対の、戦闘に身を置くもの特有の鋭さがある。だが騎士のような潔癖さを備えた威圧感は無い。

とても庶民的なのだ。

聞けば、彼は傭兵だという。貴族たちが私兵として雇う者たちであり、自分たちの日常にも近しい者たちだ。

また、城では絶体絶命だった戦況を覆してデイン軍を退け、王宮騎士を救ったという活躍が伝えられたこともある。

だから尚、民たちはこの傭兵から一軍の総司令官に抜擢された少年に強い好奇心と親近感を寄せていた。


この時、その場にいたクリミア国民は

自分も含めて王女と将軍の凱旋に胸を躍らせたのだ。

あの時の感激に勝るものがあるとすれば、

それは王都メリオル奪還の日か。

王女からの激励と将軍からの檄に、

クリミア軍もガリア兵も武器を掲げ、声をあげて応えた。

それとも、王城にクリミアの旗が立った時の、戦の終わりを告げた瞬間か。

どれもこの戦に参加したものにとってはかけがえのない瞬間だろう。


だが、自分にはあの時の2人の姿が目に焼き付いている。

会話のすべては聞き取れなかったがー。

「ー覚えてるか?」

「な、なんですか…?私なにか変なこと言いましたか?」

「 『ぶっとばしてさしあげましょう!』だったか?」

「あ…、あれは…少しアイク様たちの真似をしてみたかったんです。私も、みなさんのようにたくましくなりたくって……」

「あれには、さすがに面食らった。」

「…フフ」     

軍を率いる王女と将軍の何気ない会話だが、

楽しそうに話す二人の姿はどこにでもいる少年少女だった。

どこか憂いを帯びている王女の微笑みは花のように愛らしく、いつも仏頂面の将軍も心無しか柔らかい表情だった。


思えば、クリミア軍には若者が多く、なかには戦争に参加するには早いだろう子どもたちもいた。

そう思うと、彼らを道導としている大人の自分が恥ずかしくなる一方で、

祖国の未来に期待を抱いてしまう。

そして今日、クリミアに新しい女王が誕生した。

将軍と手と手を取り合い、

王城のバルコニーから手を振る姿はとても眩しい。


輝く白亜の城に

クリミアの新緑を抱いた女王と

真昼の空のような燃ゆる蒼をいただく将軍。


この2人の姿を死ぬまで留めておこうと思う。


そして

どうか、この時の人々の歓喜がいつまでも続きますように。

新しい女王様と、救国の英雄様に

女神の祝福がありますように。


そう願わずにはいられなかった。


~コメント~

蒼炎の軌跡15周年おめでとうございます!

初めてクリアしたFEなため思い入れが深いのもありますが、

能力(ステータス)も芯も強いアイクと心優しく笑顔がすてきなエリンシア姫の2人が今も大好きです。

アイクもですがエリンシアもこれまでのヒロインと違って、親しみやすいお姫様で、とても新鮮だったのを覚えています。

そんな2人への「好き」と、 「出会えてよかった」をモブに託して書きました。

そしてその思いを公開できるすてきな企画をたてていただき有難うございます。

いつか蒼炎の軌跡が新しいハードでもプレイできますように。

 

「とあるクリミア兵」の喜びと希望に満ちた温かな心情が、染み入るように伝わってきました。私もモブになって歓声をあげたくなってきます。

感動のエピローグが鮮やかに思い起こされる素敵な小説を投稿してくださり、ありがとうございました!

アイクとエリンシア姫は最高のヒーローとヒロインですね。

(主催:茶茉芽)

ティなちゃさん_20/4/20

ファイアーエムブレム蒼炎の軌跡、15周年おめでとうございます!

個性的なマップの数々、魅力的なキャラクターたちと個性を強めるスキルシステム、傭兵アイクと王女エリンシア様の身分の違う2人が出会い、共に歩み、様々な試練を乗り越えて、祖国クリミアを取り戻していくストーリー。

好きなFEは色々ありますが、蒼炎の軌跡は特に想い出深く、お気に入りの作品です。バーチャルコンソール出して!と願ってからもう何年経っただろうか…。

カウントダウン企画では「あと22日」を担当させて頂きました。3月29日、まさか封印の剣の発売日(2002/3/29)に当たるとは…!どちらも大好きなFE作品なので、封印要素を絡めた蒼炎絵を描こう!と 意気込んだ結果あのような集合絵に…。やりすぎ感で不安にもなりましたが、喜んで下さったFEファンの方もいらっしゃって、安心しました。あの人にはこの人の服!と誰に誰の衣装を着せるか、割り振りが楽しかったです。グレイル団長とミストはオスティア親子風に。多少のアレンジも入ってます。

最終日合作でもエリンシア姫とムワリムさん、カリルさんでイラスト参加させて頂きました(当然こちらは通常衣装で)。

暁10周年企画に続き蒼炎15周年企画にも参加させて頂き、参加者様の愛あふれるイラストの数々に心躍り、たくさんのテリウス好きさんと一緒にお祝いできる喜び。主催者様や参加者様、テリウスファンの方々に深く感謝いたします!

 

カウントダウン企画一次募集の担当日は抽選で決定したのですが、ティなちゃさんには3/29の担当を快くお引き受けいただきました。

今回も企画を盛り上げてくださって本当にありがとうございました!楽しんでいただけたなら私としても何より幸いです。

いつか蒼炎がバーチャルコンソール化されますように……!(切実)

(主催:茶茉芽)

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