ネットリサーチ実践編:リサーチ目的の設定とリサーチのワナ

ネットリサーチの罠(ワナ)

ネットリサーチを行う際、一番最初にするべきこと、そして実は最も大切なことが「目的の設定」です。それはどうしてでしょうか? 答えはいたって簡単、「目的を設定しないとリサーチは無限にできてしまい、結果間違ったリサーチになる」からです。実際にアンケートの設計に入ると良く分かりますが、設計をしてみると、「あれも聞きたい、これも聞きたい」と、どんどんと質問の数が膨らんで行きます。しかし、当然質問数が多ければ多いほど、かかるコストも大きくなりますし、回答者の手間も増え、回答の回収率も悪くなります。また当然ながら、それらの集計や分析の負担も増えることになります。ですから目的を明確に設定しておくということは非常に重要なのです。

わかっているけど、まとまらない・・・

そうは言っても、「わかってはいるけれど、まとまらない」というご意見もあるでしょう。どうしてそうなるのでしょうか? それは端的に言って、「リサーチする目的が明確になっていない」からです。まるで禅問答のようで恐縮なのですが、実は、こうした例が私たちのクライアントさんにも多く見受けられます。

例えば、新規商品開発をしよう、ついてはネットリサーチでニーズについて聞いてみよう、というような場合を考えてみましょう。多くは、自社の既存商品とのシナジーを活かせるような商品開発をしたいと考えます。そこで、そのような商品のブレインストーミングをしたり、社内公募をしたりします。そしてそれらの商品候補を「使ってみたいですか」というような感じで質問するアンケートを作成します。

するとここで、はたと困ったことが生じます。アンケート作成者には、色々な疑問が湧いてくるのです。「自分達が作った商品候補だけでニーズを測って良いのだろうか」「この候補があるのであれば、逆にこのような候補も作っておいて方が良いのではないだろうか」「この商品候補の謳っている言葉をアンケート回答者は理解してくれるだろうか」「このように商品候補を並べてしまうことで、アンケート回答者にバイアスをかけてしまっている(誘導してしまっている)のではないだろうか」などなど。

疑問が多くなればなるほど、リサーチとしての完全性を目指そうとするアンケート作成者は「それ以外にこういう選択肢も追加しておこう」「その他という選択肢を追加して自由回答もできるようにしよう」などと考えます。さらに、新商品の開発であれば、その商品に関するPL(損益計算書)も作成しなければなりません。すると、「これはいくらだったら買ってくれるのだろうか、買ってくれる値段も質問に追加しよう」「いや、でも値段を聞いてもバイアス(回答者の都合の良い方に金額を誘導されてしまう力)がかかってしまうのではないか」などと、余計に混乱することになります。しかし、アンケート作成者は「でも、みんなで出した候補なんだから(ある意味)自分だけの責任ではないか」と自分を落ち着かせ、そのアンケートを行おうとします。

その上で、「いずれにせよ、サンプル数が少ないと稟議を通す時に問題視されそうだから多めのサンプル数を設定しよう」などと思ってしまいます。

こうして出来上がったアンケート項目やサンプルについて、ネットリサーチ会社は、その背景を何も知りませんから、その通りアンケートを実行します。

気が付いた時にはアンケート数もサンプル数も想定より膨らんでいて、コストも多くかけてしまったので、アンケート担当者は分析においてそのコストを一所懸命に回収しようとします。つまり、想定していた以外に、PLの試算のための単価設定までそのアンケートを使って行って、PL計画まで作ってしまいます。こうして、立派な「砂上の楼閣」が出来上がり、いざ、新規商品を販売してみると、なぜか思うように売り上げが伸びない、というような状況に至ります。

罠(ワナ)の本当の怖さ

これは笑い事ではありませんし、空想上の事柄でもありません。実際、このようなリサーチが至る所で行われています。しかし、当の本人達には、何が悪かったのか、おそらく想像がつかないでしょう。ネットリサーチは、確かに簡便かつスピーディにアンケートができる環境を用意してくれました。しかし、実はそれこそがアンケート実施者が陥りやすい罠(ワナ)なのです。アンケートはただ行えば良いのではありません。きちんと、明確に、目的を持って設計がなされなければならないのです。

本当のリサーチの怖さはここにあります。稟議を通す経営サイドからしてみれば、「ちゃんとリサーチを行いました」といわれる分に、文句の良いようがありません。結果として、経営判断すら誤るという事態が生じます。

罠(ワナ)を避けるために

・・・このように、いきなりネットリサーチの怖さを強調してしまい、甚だ恐縮なのですが、では、どのようにしていけば良いのか、それらを今後のコラムに書いていくことにします。まずは、不思議に思われるかも知れませんが、アンケートのデータの種類、という基本的な事柄の説明からできればと思います。

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